ALS: 筋萎縮性側索硬化症ってどんな病気?

運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される病気


私たちは日ごろ手足や顔などの筋肉を、自分の思いどおりに動かしていますが、この筋肉を随意筋といいます。この随意筋を動かしているのが、脳からの命令を受けた運動ニューロンです。運動ニューロンとは運動神経細胞のことで、この細胞が侵されると、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなり、筋肉を動かしにくくなったり、筋肉がやせ細ったりします。これがALSという病気です。

アメリカ合衆国のルーゲーリックという有名な野球選手がALSにかかったことから、別名「ルーゲーリック病」とも呼ばれています。
ALSは原因不明の難病として、厚生労働省によって特定疾患の一つに指定されており、医療費をはじめさまざまな公的補助が受けられます。

どんな症状があらわれる?


ALSは脊髄の運動ニューロンが侵され、筋肉が弱くなる病気です。
最初にあらわれる症状は、弱くなる筋肉の部位によって、以下のように大きく2つに分かれます。

  1. 手や足の筋肉が麻痺して、動きにくくなります。最初この症状があらわれる患者さんは、全体の約4分の3にあたります。
  2. 舌やのどの筋肉が弱くなり、しゃべったり飲み込んだりしにくくなります。このような症状は球麻痺(きゅうまひ)と呼ばれ、これは全体の約4分の1の患者さんにみられます。

症状が進むと?


ALSの症状が進行してくると、手足の麻痺による運動障害、コミュニケーション障害、嚥下障害の3つの症状に呼吸障害が加わります。しかし、意識や五感は正常で、知能の働きも変わりません。

呼吸器の補助


頭重感や睡眠不足は呼吸障害の初期の症状です。呼吸筋がさらに弱くなり、自発呼吸が困難になった場合は、人工呼吸器の助けを借りることもあります。

  1. 非侵襲型人工呼吸療法
    鼻にマスクをあてて人工呼吸器から空気を送り込む方法。手術を必要としないので、非侵襲型と呼ばれています。
  2. 侵襲型人工呼吸療法
    気管切開をして人工呼吸器をつけ、管を通じて直接気管内に空気を送り込む方法。手術が必要なので、侵襲型と呼ばれています。

原因はまだ究明されていない


ALSの病因については何らかの環境因子の関与、グルタミン酸過剰説、神経栄養因子の欠乏説、フリーラジカル説などさまざまな仮説が提唱され研究されていますが、現在までのところまだ結論は出ていません。また、約90~95%は遺伝と関係なく発生し、5~10%は遺伝性のALSといわれています。

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